胡蝶蘭の育て方

育て方のポイント

胡蝶蘭は、季節によって育て方は変わります。
コツをつかむとお花は長持ちしますので大切に育ててみてください。

届いてからどうすればいいの?

まず箱の外に出してあげましょう。
ラッピングされて届いた状態のものは、もったいないように感じますが長くても3日ぐらいではずしてあげてください。
長時間ラッピングされたままだと、鉢の中が蒸れて根腐れの原因になります。

置くのはどんな場所が良い?適温は?

一番注意しなければならないのが温度です。暑すぎず寒すぎず、15℃以上の風通しの良い場所が理想です。特に冬は要注意。また花を咲かせるには、最低温度が12度前後必要です。室温が低いところに長時間置いていると、花が早く萎えたり、つぼみが咲かずに終わってしまうことがあります。温度には注意しましょう。エアコンの風が直接当たるのも厳禁です。

光や明るさの注意点は?

胡蝶蘭は直射日光を嫌います。
室内の明るさなら、特別光に気を遣う必要はありません。
レース越しの日光が当たるくらいがちょうどいいくらいです。

水やりのタイミングは?

水やりは控えめで大丈夫です。週間から10日に一回、常温の水をあげてください。主に根元に潅水してください。花に水をかけるのは厳禁です。
また、水を溜めたまま長期間放置しておくと、病気等が出て根腐れの原因となりますので、一度に多くの量を与えないようにしてください。花の状態や、土の乾き具合で水やりの頻度は変わってきますが、触ってみて少し乾いたと思うところで水をやってあげるようにしてください。

胡蝶蘭を育てる環境

胡蝶蘭は、よく育つ環境と、育ちにくい環境があります。

温度について

温度管理は、胡蝶蘭にとって最も大切です。最適な温度は、10℃前後~28℃くらいです。
胡蝶蘭も人間と同じで、人間が快適だと感じる温度は胡蝶蘭にとっても快適な環境です。
夏はなるべく涼しい場所に、冬はなるべく暖かい場所に置いておくように心がけてください。
「胡蝶蘭にとって一番大事なのは温度!」を忘れず大切に育ててみてください。

水について

夏の一番暑い時期を除き、水やりにはあまり気を使う必要はありません。
受け皿にいつも水がある状態は厳禁です。水のあげすぎは株を痛めて、根腐れの原因にもなります。最悪の場合、過湿が原因で花枯れをおこします。
受け皿に水は溜めず、水やりには充分注意してください。

光について

胡蝶蘭は弱い光でも育ちます。レース越しの光程度がちょうど良いでしょう。

スナックなど昼間は全く光を遮り、夜も弱い光しかない場所では、すぐに株が痛んでしまいます。 いくら弱い光でも大丈夫、といっても光がなさすぎないよう注意しましょう。

胡蝶蘭を長持ちさせるには

咲いている胡蝶蘭を長持ちさせるには?

季節によって育て方は変わります。注意して丁寧に育ててみてください。

春(3月~5月)

胡蝶蘭にとってはまだまだ寒い時期です。5月になれば胡蝶蘭が成長する季節といえます。

みずやり

根元への灌水は1週間~10日に一度くらいで大丈夫です。時間は朝~日中の時間にしましょう。 夜の水やりは温度が急激に冷え込む日があるので、避けてください。 1株につき500mlを目安に。胡蝶蘭の株それぞれの根元にあげてください。花に霧吹き等は不要です。

置き場所

日中で16℃くらいになる場所が理想的です。 室内は基本的に常温で大丈夫です。エアコンの直風は厳禁、室温の高い日は風通しを良くして下さい。

蛍光灯程度の光で充分ですが、一日中暗い場所は避けてください。
日の強さは次第に強くなってきます。太陽の光を直接当てると日焼けする危険性があります。 窓の近くや、胡蝶蘭に直射日光があたる場所は避けて、レースのカーテン越しに光を当てましょう。
早朝と夕方だけ直射日光に当たるとベストです。

夏(6月~9月)

雨が多い季節~むしむしと蒸し暑い季節になってきました。晴れの日にうっかり日にあてすぎないように。

みずやり

根元への灌水は1週間~10日に一度くらいで大丈夫です。午前中の涼しい時が良いでしょう。
夜の水やりもOKですが、雨の多い梅雨時には水やりはいりません。花に霧吹き等は不要です。
完全に乾いたらたっぷりの水を与えるようにしましょう。
水をあげる時には、1株につき500mlを目安に。胡蝶蘭の株それぞれの根元にあげましょう。

置き場所

なるべく涼しい所で育てて下さい。エアコンの直風は厳禁で、風通しを良くして下さい。
エアコンの風が直接当たると乾燥が激しくなり胡蝶蘭の花が枯れるので、エアコンの風が当たる場所は避けましょう。

蛍光灯程度の光で充分ですが、一日中暗い場所は避けてください。夏の直射日光はNGです。
晴れると日の力が大変強く日焼けを起こしてしまいます。

秋(10月~11月)

胡蝶蘭にとっても過ごしやすい季節になりました。温度は15度以上に保ちましょう。

みずやり

普通に水を与えてよい時期です。3週間に1度くらいの水やりで充分です。
時間は朝~日中の時間。夜の水やりはNG、花に霧吹き等は不要です。
水をあげる時には、1株につき200mlを目安に。胡蝶蘭の株それぞれの根元にあげましょう。
水は与えすぎず、完全に乾いたらたっぷりの水を与えるようにしましょう。

置き場所

室温の高い日は通風をよくして下さい。エアコンの直風は厳禁です。
15度以上は保ち、18℃以上が理想です。暖房が効いている場所に置くようにしましょう。
また、夜に温度が下がりやすい玄関などは避けましょう。

日中はレースのカーテン越しにできるだけ長時間当てましょう。
朝夕の光の弱い時間や曇りの日などは直接当ててください。

冬(11月~3月)

この寒い時期、寒さからやさしく守ってください。温度は15度以上に保ちましょう。

胡蝶蘭は、もともと熱帯の植物なので、冬の寒さは一番の大敵です。

来年も華麗な花を咲かせてあげるためには、この季節のお手入れが肝心です。

みずやり

2週間-3週間に一度、根元への潅水。(日中暖かい時間帯に潅水)水は乾いてからあげましょう。
水をあげる時は晴天時の午前中にあげて下さい。できればぬるま湯をあげて下さい。
夕方に冷たい水をあげると、根が凍傷にかかりやすく根腐れをおこしやすくなるので気を付けましょう。

置き場所

15度くらいに保ちましょう。暖房機のそばやエアコンの直風は厳禁です。
胡蝶蘭は寒さが苦手。寒空の下には決しておかないでください。
夜に温度が下がりやすい玄関などは避けてください。

一年でもっとも日照時間が短くなる時期です。レースカーテン越しの半日陰、または直射日光の状態で育てます。 昼間は窓のそばに、夜間は部屋の中央に移動してあげましょう。最低温度を15℃以上に保てば成長を続けます。18℃以上が理想です。
ただし日が強すぎる場所におくと日焼けになります。葉に触って葉の温度が熱くならないよう気をつけましょう。
昼間は窓の側で、夜間は部屋の中央に移動すると良いでしょう。

肥料

冬季は避けてください。

冬期の注意点

  • 水をあげる時は晴天時の午前中に。できれば「ぬるま湯」をあげて下さい。(夕方や夜に冷たい水をあげると根が凍傷にかかり根腐れをおこしやすくなります。)

  • 水は乾いてから上げてください。(2週間-3週間に一度で十分です。)空気が乾燥してますので苔の表面はすぐ乾きますが、中のほうは湿っています。苔の表面が乾いたからといって水をあげてしまうと根腐れの原因に。

  • 11月-3月までは、直射日光を当てて植物を丈夫に育てて下さい。特に、朝日には当てた方がいいです。

肥料について

肥料は3月から9月の間だけで結構です。冬場の寒い時期は避けて下さい。室温を20度-25度に保っている環境があれば話は別ですが、通常、冬場の家や事務所の中は夜間とても冷えますので下部が弱っています。
そんな時に肥料をあげたらどんどん根腐れをおこして枯れてしまいます。

花を咲かせるコツ(初冬の時期)

胡蝶蘭は基本的に年に1回しか花を咲かせません。でも、コツをつかめば2回目の花を楽しむことができます!あなたも是非、挑戦してみてください。

  • 花が完全に咲き終わる前に(花びらにしわがでてきた状態)咲いている花の茎を切ります。茎の下から3節目の2cmくらい上をカットしてください。株が弱っていたら咲きませんので切るタイミングが重要です。

  • 切った後は静かに時を待ってください。肥料は要りません。お水も控えめに。すると一ヶ月程度で花芽らしいものが切り口の下の節からでてきます。これで30%成功です。

  • その花芽にいかに多くのつぼみをつけさせるかです。株に余力が残っていれば花芽はでますが、つぼみをつけるのはいくつかの条件が必要です。
    まずは日当たり。この時期は直射日光を当て、夜間は部屋の中央に・・・。(夜間の窓際は冷えます。)このあたりの細かな気遣いで、つぼみをつけてくれるのです。

  • つぼみがつけば、後は花が開くのを待つだけです。茎を切ってからのここまでの約2ヶ月程度の期間がかかります。

注意事項

胡蝶蘭の花には触らないようにしてください。
花中央部の雌しべに触れると、短期間の間に花がしおれてしまいます。 花落ちしてしまったら、株と茎を支えていた支柱を外します。茎の部分の節の下から数えて4段目くらいで茎を切ってください。

切り落としても、翌年は違う場所から新しく伸びてきます。
開花の目安は温室内の場合で2~3月、常温の場合は5月頃です。のんびりと育つのを待って下さい。

 

胡蝶蘭の病気と対処

胡蝶蘭の病気は葉や根が腐ったり、枯れたりいろいろな症状が出ます。
治るものもあれば、一度病気になると花を咲かせるのは難しい病気もありますので、注意が必要です。
細菌による病気、カビが寄生して発症、害虫による病変、いろいろな症状がありますが、よく見られる胡蝶蘭の病気を紹介します。

軟腐病(なんぷびょう)

季節をとわず発生し、胡蝶蘭の病気中やっかいな物の一つです。
独特の腐敗臭があり、ブヨブヨで溶けるように組織が破壊されます。放置すれば温室全部の胡蝶蘭が全滅することもありますので、早めの対処をしましょう。

  

はじめ葉の根元に水浸状の斑点が出てきます。
そして葉元から幹に入り、急速に拡大しながら淡褐色に腐敗していきます。
その後、数日のうちに株全体が淡褐色になって軟化、腐敗し枯死します。

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軟腐病のウィルスは、簡単に他の胡蝶蘭の株にも感染します。
もったいなくても早く処分して、他の株に感染させないことが必要です。

  

胡蝶蘭の場合、細菌性のものと、真菌性のものとが同じように軟腐しますので、どちらであるかによって対処が異なります。

・悪臭のする細菌性の軟腐病には「ストレプトマイシン」(ストマイ、マイシンと略称されます)がおすすめです。
・真菌(カビ)性の軟腐病には「ダイセン系」(Mダイファーやビスダイセンなど)の殺菌剤が有効です。

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ストマイ水和剤

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エムダイファー水和剤

いずれの場合も過湿、 もしくは過度の乾燥が原因のケースが多く見られます。
病原菌は高温多湿の時に発生するので、夏場に水をあげすぎたりしないよう注意が必要です。

灰色カビ病

灰色かび病は寄生範囲が広く、ほとんどすべての植物で発生します。
 多くの植物に発生する灰色カビですが、胡蝶蘭も例外ではありません。

  

最初はいくつかの小さな点シミが数えられる程度ですが、それはすでに灰色カビに侵されいる証拠です。
灰色カビが発生すると花の表面にグレーのシミや斑点がいくつも広がっていきます。
時間と共に徐々にシミは広く、深く、多く、病状は進行していきすぐに観賞価値を失います。 そして、一度侵されてしまうと残念ながら手遅れです。

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灰色カビに侵された花びら

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花びら全体に症状がみられる様子

灰色カビは部屋の湿度が100%近くなると発生します。
基本的には除湿効果のある機材(暖房機やクーラー)が動いていればまず湿度が100%になることはありません。

    

しかし春先と秋はクーラーと暖房機の両方を使わずに済むため、多湿になる原因(加湿器や散水など)があると部屋の湿度が100%になることがあります。
もちろん梅雨時など湿度の高い季節にも発生することがあります。

原因別の対処方法 

●加湿器が原因の場合

冬の時期は乾燥をさけるために加湿器をまわしている所も多いと思います。
しかし徐々に暖かくなり”暖房機が停止しているにも関らず加湿器を停止しない”と多湿状態となり灰色カビが発生します。
冬場の乾燥対策は春先には必要ありません。

●散水が原因の場合

加湿器ほどではありませんが、花びらへの過剰な霧吹き、湿度を維持するための散水、夜間になってからの水やりも多湿の原因となります。

●梅雨時や雨の多い季節

過剰な水撒きに注意し、ときどき空気を換気してください。  

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季節ごとの管理に気をつけながら、胡蝶蘭を長持ちさせて長く鑑賞できるようにしましょう。

胡蝶蘭をもう一度咲かせるには

胡蝶蘭が咲き終わった後の管理

胡蝶蘭は他の花よりも特に長くお花を楽しめます。

そして花茎の一番根元に近い花から先端へ向かって順番に咲いていきます。
最後の花が咲くまで、最初に咲いた花は長いものでは60日以上も咲き続けて、満開になる日を待っています。

そんな胡蝶蘭も花の終わりはもちろんやって来ます。

花がしおれて落ちても、葉がまだ生きている場合は、胡蝶蘭の花をまた咲かせる事が出来ます。
花が終わった鉢を放置したりせず、花芽を切り来季に備えてみてください。

胡蝶蘭がしおれた後は?

園芸用のハサミを準備します

病気の伝染を防ぐため、作業前に必ず手を洗い、ハサミも火で炙って殺菌しましょう。

茎を固定してあるワイヤーや支柱を外す

花芽(花茎)を支えている支柱を取り除きます。
花芽と支柱を留めている留め具やワイヤー、テープをゆっくりとはがします。
すべて外した後、胡蝶蘭の茎を固定している支柱を引き抜きましょう。

  

無理矢理抜くと株を痛めますので、適当なところでペンチ等の工具で切断してください。面倒な場合は切断しなくても大丈夫です。

花芽(花茎)を切る

花が枯れたら、花芽(花茎)を切りますが、花芽の切り方は下記のような二通りの考え方があります。

 
【すぐに花を咲かせたい】
 

株の一番下から数えて2~3節目でカットします。
切った下の節の所から新しい花芽が出やすくなります。
連続して花を咲かせると株の力が弱まるので、長く育てたい方には不向きです。

 
【株を長く健康に育てたい】
 

根元(2~5cmくらい)でカットします。根元から切ると株の力が蓄えられます。
こうすることで長年にわたって花を咲かせられます。
株に力があれば秋に花芽が出始め春に花を楽しむことができます。

※様々な環境にもよりますので、確実に2度目の花が咲くとは限りません。予めご了承ください。

お手入れが終わったら?

温度と水の管理をして、そのままにしておく

たったこれだけで、時間が経てば花芽がついてきます。
ただし、葉がしおれている、枯れてしまっている場合は株が死んでしまっています。
その場合は残念ですが、胡蝶蘭はもう一度咲かせることはできません。

  

そのままにするといっても、以下のことに気を使って大切にしてください。

 
●温度は、10℃~30℃くらいを保つようにして下さい。
 

5℃を下回る場所に置いておくと、株が痛んで花が出なくなります。

   
●水やりは、季節に合わせて1週間~1ヶ月の間で行いましょう。
 

花がついている時に比べて水やりは少なくします。
あまり水を与えすぎると花がつかないばかりか、根腐れがおきてきくるので注意が必要です。

   
●胡蝶蘭の産地では通常、しっかりとした肥料管理をしています。
 

購入して3年は肥料は不要です。

   
●通常は、春~秋に花芽がつく可能性が高いです。一番花芽がつきやすいシーズンは秋頃。
 

夏場に満開を迎えた胡蝶蘭は、秋にもう一度花芽を付ける可能性があります。

    
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